就労系サービスの平成30年度新報酬対策(概論)

障がい福祉サービス

4月になりました。平成30年度の障害福祉サービスが始まりました。
3月の半ばから末にかけて、多くの自治体で事業者向けの集団指導などがありましたが、厚労省からの通知が間に合っておらず、出席した事業所様も「?」な印象をお持ちになった方が多いと思います。

3月22日に発表された障害福祉サービス報酬改定にともなうパブリックコメントの回答を読むと、今回の報酬改定で示された厚労省の考えと、何に懸念をしているかがわかります。
このパブコメ回答にもとづいて、就労系サービス(就労移行支援、就労継続A型、B型)の各事業所にとって、今後サービスをどのようにとらえていくべきかを少しずつ考えてみましょう。

パブリックコメントの回答で明確になった新報酬の考え方

これまで定員枠によって一律であった就労系サービスの基本報酬が、平成30年度からサービスごとに変わりました。

  • 就労移行支援:一般就労後、6ヶ月以上職場定着した実績に応じて
  • 就労継続支援A型:利用者の平均労働時間に応じて
  • 就労継続支援B型:平均工賃額に応じて

これらが、前年度実績に基づいて決定されます。
事業所にとっては、ギリギリで平年並み、比較的多くが報酬減となると思われます。

パブリックコメントの回答を見ても、以下のように厳しい回答が見受けられました。
次に少しだけご紹介します。(引用する文章は筆者が抜粋、編集しています)

パブリックコメント抜粋

就労移行支援

Q「6ヶ月定着者の数を利用定員で割る、としているが、定員以下の実利用者数で丁寧に就労支援を行っている事業所に不利ではないか?」
A「利用実績数が利用定員より低い場合は、実績に即した利用定員に変更することを検討してください」
えのもと
えのもと

ミニマム定員20名の事業所はどうしろと?

就労継続支援A型

Q「サービス利用開始時点において、病気の影響から遅刻早退する(=労働時間が少なくなる)ことが予見できた場合、不採用にせざるを得ないがそれで良いのか?」
A「暫定支給の期間中に客観的に判断してください」
えのもと
えのもと

体調や就労への不安から、まずは短時間で始めたいというニーズはたくさんありますけど?

就労継続支援B型

Q「利用者の状況に応じて、週1日や半日利用なども積極的に受け入れている場合、平均工賃の月額は低く算出されてしまう。平均時給や日額など柔軟な対応をして欲しい」
A「重度の利用者(障害基礎年金1級)が半数以上いる場合は平均工賃月額2,000円を加えた設定をしています。徐々に作業時間や通所日を増やすことを目指すことで、工賃向上を図る事業所の努力を評価します」
えのもと
えのもと

B型の工賃向上の努力って、1年やそこらで出ないことはザラなんですけど?

このようなトーンの回答が多いんです。
特にA型の回答では、
基本報酬の算定に影響が出ることを懸念して採否を決めることは、サービス提供拒否となるため、指定基準上認められません
と追記されています。
つまり、今回の報酬改定により就労系障害福祉サービスから締め出されてしまう方が出てくることは、厚労省も十分に予想しているんですね。
であれば、こんな極端な制度にしなくても……、とは思うのですが。
来年度で、多少の修正は出てくると思います。
とはいえ、当面はこの体制で行うしかないのも事実ですよね。

サービス種別に戦略を変える必要がある

大雑把な言い方になりますが、これまではサービス種別に関係なく契約者数を増やすことが重要とされてきました。
それに対して批判が多かったのも事実です。
特に現場で支援にあたる人にとっては、切実な問題であったと思います。

今回の報酬改定を契機に、自分たちのサービスにあった戦略を考えて、それを実行するような事業所運営が必要になると感じています。

端的には、以下のことが重要になってきます。

  • 就労移行支援:事前アセスメント、出口(就労先)の開拓
  • 就労継続支援A型:暫定支給期間の活用、サービス管理責任者の能力
  • 就労継続支援B型:仕事(作業)の獲得能力、福祉業界外との関係づくり

付け加えると、就労継続支援A型、B型には、就労支援能力がカギになってきます。

自分たちの事業所がどのようなあり方を目指すのか?

しかし、報酬制度が実績に基づく形に変わったとしても、全ての事業所が最も高い報酬を目指さなくてはいけない、というわけではありません
自分たちの事業所がどういう所で、どのような事業所、どのような支援を目指すのかによって、対策は変わってきます。

スタッフ全員で自分たちの目指すサービスのあり方を考えて理解することが、今回の新制度で強く求められることです。

 

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