就労継続支援B型の平成30年度対策

障がい福祉サービス

先日の「就労継続支援A型の平成30年度対策」に続き、就労継続支援B型についてお届けします。
前回お伝えしたように、就労継続支援A型、B型とも共通している部分も多いです。

平均工賃月額による報酬区分

就労継続支援B型は、「前年度の平均工賃月額」によって報酬が区分されることとなりました。
平均工賃が4.5万円以上で645単位5千円未満で562単位となっています。
以下に、報酬区分と平成29年度と比較した場合の増減率の表を貼り付けますので、ご覧ください。

A型と比べると大きく違いますね。
参考までに先日のA型の比較表も貼っておきましょう。

それだけ平均工賃を上げるのは難しいということです。
一般的にB型の工賃の平均は月額15,000円くらいと言われていますが、実感としては5,000~7,000円の事業所が多い印象です。
基本報酬ベースで見ると、確かに「1万円以上2万円未満」が586単位で、ほぼ前年並みと言えます。
しかし、加算の改定があるので、実質はもっと厳しいものがあります

目標工賃達成加算の廃止は大きい

一定の工賃改善を果たしている事業所に対して、目標工賃達成加算がありました。
要件は厳しいのですが、この加算が32~69単位です。
先程の表をもう一回見てみましょう。

なくなった加算の最低ライン、32単位以上アップするのは「3万円以上4.5万円未満」の621単位以上に相当します。
では、「『3万円以上』の月額工賃を出している事業所はどれくらいあるか」が気になりますね。
愛知県を例に取ると、平成28年度で473件の就労継続支援B型がありました(多機能型も含む)。
そのうち、「3万円以上」の工賃実績があるのが32ヶ所、約6.8%の事業所です。
残り93.2%の事業所にとっては、目標工賃達成加算を取っていれば減収、取っていなくても現状維持がせいぜいでしょう。
がんばっていた事業所ほど報酬が下がるという結果に見えます。
これも就労継続支援A型と同様、一般就労への誘導を狙った改定だと言えます。

パブリックコメントで厚労省はどう答えているか?

Q「就労継続支援B型の基本報酬は、廃止される目標工賃達成加算分が反映されていない。減収となるので見直してほしい。」
A「目標工賃達成加算は、毎年工賃を引き上げることが求められており、工賃が少しでも下がると加算されない仕組みであったため、高工賃を実現している事業所を適切に評価できていないとの指摘もあったところです。
今回の報酬改定では、経営実態調査における収支差を踏まえつつ、目標工賃達成加算を算定できない年であっても平均工賃月額に応じて評価する仕組みとすることで、安定した事業運営が可能となると考えています。」

パブリックコメント結果:http://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000171863

確かにそうだけど……、という感じの回答ですね。

改定の狙いは一般就労へのインセンティブ(再掲)

繰り返しになりますが、この4月から障害者雇用義務の対象に精神障害者が加わりました。
法定雇用率もアップしています。
就労系のサービスに対する報酬改定は、障害者雇用の制度変更とも大きく関係しています。
B型の利用者は、およそ半分が知的障害者で40代以上です。
また、利用年齢の上限がないため65歳以上の方も利用されています。
たしかに、A型と比べても一般就労へつなぐのは困難なケースが多く、また本人の希望がそこにない、という場合も多いでしょう。

しかし、しかしです。
年間で1名の6ヶ月定着者を出せれば、翌年度に就労移行支援体制加算42単位が算定できます。
42単位の加算は、上記の目標工賃達成加算の最低額32単位を上回っています。
平均工賃を上げるために、仕事能力の高い利用者を事業所に抱え込むのではなく、1~2名を就労・定着させることの方にインセンティブを置いているわけです。

一般就労に結びつけることで来年度の大幅加算増を狙う

B型、A型ともに、就労移行支援体制加算が昨年度とは比較にならないほど、高く評価されています。
定員規模20人以下の場合で、前年度に一般就労ののち6ヶ月定着した利用者がいる場合、定着者1人につき42単位が加算されます。
仮に平成30年度の10月1日までに、2人を一般就労させて、6ヶ月定着させた場合、
42単位×2人=84単位(!)
が加算されることになります。
なお、10月2日以降に就労だと6ヶ月定着の成立が翌年4月1日以降になってしまいます。
ご注意ください。

もし、その事業所が報酬区分5(平均月額工賃1万円以上2万円未満)だった場合、
586単位(基本報酬)+84単位(加算)=670単位
が平成31年度に算定されることになります。
一般就労のなかった区分1(平均月額工賃4.5万円以上)の事業所より、次年度に高い報酬が見込めるのです。

就労支援については、経験や知識の少ない事業所も多いと思います。
これについては日を改めて書きますので、お待ちください。

工賃向上対策をどうするべきか?

B型事業所で難しいのは、請負で単価の低い仕事が多くなってしまうことです。
先程の「3万円以上4.5万円未満」の事業も、多くが自主事業を持っているところでした。
単価の低い仕事をたくさん受けてしまい、支援員が仕事するしかない状況に陥ってしまうケースはできるだけ避けたいものです。
職員の定着率にも関係します。

とはいえ、高単価の仕事を見つけるには日々の支援業務は多忙過ぎます。
そこで、目標工賃達成指導員配置加算の取得がポイントとなります。

目標工賃達成指導員配置加算が残っていることの意味

目標工賃達成加算はなくなりましたが、目標工賃達成指導員配置加算は残っています。
工賃向上のための職員を常勤換算1人以上配置して、職員配置が6:1以上になることで得られる加算です。
定員20人以下の場合だと1日につき89単位ありますので、利用者14人×20日開所で249,200円程度の加算が見込まれます。
ある程度利用者がいることが前提ではありますが、単なる加算と考えず工賃向上のための仕組みとして活用してください。

施設外就労の要件も緩和

B型の施設外就労も要件が緩和されました。
これまで施設外就労へ出せる人数は、定員の7割までとされていましたが、その要件が外されましたので、施設外就労を強化するのも良いでしょう。
月2回のアセスメントも、事業所でなく施設外就労先で行ってよいことになっています。

翌年度、翌々年度を想定した事業所運営を

就労継続支援については、今回の改定によって複数年度を意識して運営することが必須となりました。
もちろん、日々の利用者数は大切ですが、翌年どうなる?という意識の共有が重要になります。
その意味で、今回の改定内容は経営者様や管理者様だけでなく、職業指導員や生活支援員にも内容を理解していただき、ミーテイングなどで意識を共有して欲しいと思います。

あえて余裕を持った運営で集客もアリ

就労継続支援B型は、障害者総合支援法の日中系サービスの中で、とても重要な役割を担っています。
幅広い利用者対象、期間制限がない点で、障害福祉サービスの支えとも言えますね。
改定によってA型が労働時間を重視するようになると、レクレーションなどの活動がしにくくなってきます。
そうした方向の中で、余裕のある日中活動の方も好まれる人も出てくるでしょう。
今の利用者、未来の利用者を意識して、あえて余裕のある運営を意識してもよいと思います。
そのためにこそ、どのような支援、どのような加算を考えるべきか、スタッフ同士でじっくり考えてみてください。

お読みいただきありがとうございます。

コメント