就労移行系サービスのジレンマ

障がい福祉サービス

平成30年度の障害者総合支援法改正の中から、就労系サービスについて集中的に書きました。
書いているなかで、就労支援と定着支援が強化されることは肯定できるけど、それがあまりに露骨に報酬体系を結びついていることには、今も違和感を抱いています。
それがあったから、書くのにとても時間がかかったり、書いたから考えがすっきりしてきた部分があります。

「悪魔にならないとは、約束できないよ」

クライアント回りをしているときに、とある就労移行支援の経営者さんがそう言いました。
決してガツガツしなくって、じっくり時間をかけて支援をしている事業所です。
でも、今回の報酬改定で、ちょうどスタッフ1人分の減収が見込まれます。(当然処遇改善加算額も下がります)
4月から新規利用者を増やし、就労定着支援の申請準備も行い、減収を最小限に食い止めようとお話しているときに、こんな言葉を聞きました。

今年の9月末までに就職できそうな利用者さんは2~3名。あと、◯◯さんはすぐにでも就職できるけど、本人は事業所の契約終了日までここに居たいんだって。そうすると年末まで事業所にいるから、6ヶ月定着は平成30年度には完成しないですよね?

榎本さん。
もしね、9月末までに就職できそうな人が1人でも調子悪くしたりしたら、来年度の報酬が上げられない。そのときに、自分が悪魔になって、せっかく事業所が好きでギリギリまでここで過ごしたいって考えている人を説得して就職させることをしないことは約束できないよ。

私は、これを聞いて
「それでも、その時になったら提案しますので、話し合ってみてください」
というしかありませんでした。

職業選択の自由と定着支援

就労支援、6ヶ月定着率、3年6ヶ月までの就労定着支援。
これらが、今まで以上にキッチリ報酬と結びついたこと、それが就労系サービスだけでなく、日中活動系や訓練系サービスにも影響を与えていることを改めて認識させられます。

私の経験から考えて、概ねはうまくいくだろうと思います。
就労の定着を妨げる、生活環境や職場での人間関係に対するアプローチによって、多くの方が働き続けられることになるでしょう。
そうならなくてはならないのです。

でも、一部で「本人が望んでいないところへ就職させられた」とか「職場が辛くて辞めたいけど辞めさせてもらえない」という事例は出てくるでしょう。
だって、そういうことにインセンティブが与えられてしまったからです。

しかし、「自ら行う職業を選択・決定する自由」である、職業選択の自由を侵害することは、たとえ相手が就労支援を受けている障害者であっても、やってはいけないことです。

「職業選択の自由」は、今後就労系サービスの解説や生き残り戦略を判断するうえで、とても大切な立脚点になると思います。

就労系サービス、とくに就労移行支援と就労定着支援、おそらくどの事業所も苦しい時期ですが、ここで「悪魔にならない」ことで、長期的な展望が見えてくるはずです。

 

ぜひ、一緒に考えていきましょう。

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